第62回東京国際ギターコンクールの感想①

12月7日、8日に白寿ホールで行われた第62回東京国際ギターコンクールを観戦してきました。

毎年12月に行われているのでその年の締めくくりのような印象がある日本のクラシックギター界の一大イベントですね。

将来有望視されているような海外の若手が多数参加するので、国内のコンクールとしては圧倒的なレベルの高さを誇ると思います。

今年も2次予選の出場者18人中日本人が4名、海外勢が14名(2名棄権)なので海外勢のほうが毎年多く出場していますね。

昨年は都合が悪くて見に行けませんでしたが、今年は休みが取れたので予選から見に行きました。

昨年は日本人が本選に残れなかったそうなので今年はどうなのかなと思いながら観戦したのですが、予選の感想の前に前日に開催されたコンサートの感想も少し述べておきます。

自分は今回コンクールの通し券をギター連盟から直接購入しました。

この券を購入するとコンクールの予選と本選の他に「若きギタリストたちによるギターコンサート」というコンサートも無料で見ることができます(それ以外に本来なら昨年の優勝者コンサートもあるはずなのですが、昨年は優勝者が出なかったので今年はありませんでした)

出場者の名前がコンクールで見かける方たちだったので、せっかくなのでこちらも観戦してきました。

こちらのコンサートの会場も白寿ホールでした。

今まで何度か来たことがありますが、相変わらず音響の良いコンサートホールだと思います。

後ろの方に座っていても演奏前の音量を抑えたチューニングの音ですらはっきりと聴こえてくるぐらいです。

会場のお客さんの入りは平日の夜ということもあって正直あまり多くはなかったです。

まあその辺は仕方ないでしょう、この条件で会場満席にするならよほど有名な人を連れてこないと埋まらないと思います。

今回のコンサートでは3人の方が演奏されました。

一人目は横村福音さん。

今年はこの前のスペインギター音楽コンクールで見事優勝されました。

他にも色んなコンクールで優勝入賞を重ねている期待の新人の方です。

演奏した曲は順にソルのエチュードOp.6-6、グラナドスのアンダルーサ、そしてロドリーゴの3つのスペイン風小品からファンダンゴ、パッサカリア、サパテアードを弾きました。

横村さんのプログラム的にお馴染みの感じがします。

今回個人的に一番印象に残ったのは2番目のアンダルーサでしょうか。

以前豊洲のコンサートで聴いたときはテンポが速いなと思ったのですが、今回はその時よりもゆったりとしていてとても聴きやすかったです。

決めるところをしっかりと決め、メリハリのあるいい演奏でした。

二人目は深沢みなみさん。

彼女もこの前のスペインギター音楽コンクールで演奏聴きました。

その時は力強い音が印象に残りました。

曲はブローウェルのジャンゴ・ラインハルトの主題による変奏曲を弾きました。

コンクールのときよりはやはり落ち着いていて、今回も前に出てくるような力強い演奏をしていたと思います。

三人目は杉田文さん。

彼女もまたこの前のスペインギター音楽コンクールに出ていたのですが、そのときは演奏順の都合で演奏が聴けませんでしたので今回初めて聴きました。

曲はモンポウのコンポステラ組曲よりⅠプレリュード、Ⅱコラール、Ⅳレチタティーヴォ、Ⅴカンシオン、Ⅵムニェイラの5曲を演奏しました。

まず最初のプレリュードの演奏は丁寧でなおかつ雰囲気があってとてもよかったです。

続くⅡ、Ⅳ、Ⅴは全体的に悪くはないのですが、時々耳につくようなきつい音?が出るところがあったのでそこはちょっと気になりました。

終わりのⅥは若干テンポ速めに弾いていました。

派手さ優先かもしれませんが、この曲はもう少し落ち着いて丁寧に弾いてもらう方が好みです。

最後はギターデュオ「さつき」として深沢さんと杉田さんが登場。

セルジオ・アサドのマラカイペという曲を披露してくれました。

北京ギターデュオに献呈された曲らしいのですが、初めて聴きました。

曲調的に好みの部類ではないのですが、2楽章からなっているみたいでⅠが物思いに沈むサーファーでⅡが蟹歩きという変わった?名前がついているみたいで聴き直してみると確かにそんなイメージが浮かぶ曲でした。


「若きギタリストたちによるギターコンサート」の感想はこんな感じです。

次回からは予選の感想について書いていきますのでしばしお待ちを。


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